職業としての介護
社会福祉は、篤志家の努力によって発展してきた歴史があることから、介護の仕事も、収入を度外視した篤志家の「慈善事業」であるとか、「ボランティア活動」であるというイメージをもつ人がまだまだ少なくない。
しかし、介護の仕事は医療や教育の仕事と同じように、「慈善事業」や「ボランティア活動」ではなく、普通の職業である。
したがって、高い低いは別として一定の収入を得ることができるのはもちろんである。
たとえば、東京都や大阪府等の民間社会福祉施設では、都府県の職員、つまり公務員に準じた給与制度をとっており、各種社会保険制度等も整備されている。
他の職業と異なるのは、営利を目的としないことである。
民間の仕事であっても、営利を追及せず一定の収入が得られるのは、介護の仕事のほとんどが公費でまかなわれているからである。
しんどいが、やりがいのある仕事
介護の仕事の目的は、ハンディキャップをもった高齢者や障害者の生活と関わり合いながら、その人の尊厳を守り、その人らしい生活を援助することである。
人間的なかかわりであり、自分の仕事がそのまま相手に伝わり、はねかえってくる。
たとえば、寝たきりの状態だった人が、自分が援助することで車椅子に乗れるようになったり、歩けるようになったりする。
こうしたやりがいは、他の仕事ではなかなか得られない。
転職希望の会社員が多いのも、そういうやりがいや人間的なふれあいに魅力を感じるからであろう。
その反面、しんどさもあるし責任も重い。
入浴時に、お年寄りを抱きかかえるハードな仕事も多い。
親身に世話をしても、なかなかうちとけてもらえないこともある。
ちょっとした見過ごしが、重大な事故につながることもある。
したがって、
「他に職業がないから」
とか
「とりあえず就職しょう」
というような安易な気持ちでは、長続きしない。
介護の仕事の内容
介護の仕事は、人間の生活を支えるものであり、その具体的な内容は、人間の基本的な生活全般に及ぶ。
たとえば、
栄養のバランスがとれた献立を考え、調理する。
配膳し、食事を食べさせる。
入浴するために、衣服を脱がして、身体を洗う。
排泄を手伝う。
オムツを交換する。
掃除や洗濯をする。
高齢者や家族の相談に応じる。
身体の機能訓練をする。
健康管理や看護を行う。
実際には、これらの仕事のすべてを一人でするのではなく、栄養士、調理師(員)、寮母(父)、介助員、ホームヘルパー、指導員、埋学療法士、作業療法士、看護婦、保健婦等といった多くの専門職が共同で担っている。
多様な仕事の場面
介護の仕事の場面は、時代の変化とともに、年々広がりを見せている。
高齢者関係を例にあげると、大きくは次の四つのタイプに分類できる。
(1) 特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護力強化病院等のような、利用者が毎日生活を送る「入所型」タイプ。
(2) デイサービスセンターやデイケアセンター等のような、利用する人がそこに通う「適所型」タイプ。
(3) サービスを提供する人が利用者の自宅に出向く、ホームヘルプサービスや訪問看護ステーション等のような、いわば「派遣型」タイプ。
(4) さらに、最近では、この三つのいずれのタイプにも属さない「生活型」が登場している。たとえば高齢者や障害者が数人で生活する「グループホーム」である。
これらの複数の型を同一法人で運営しているところも多い。
介護職の勤務時間
二四時間サービスを提供する「入所型」の場合、そこで働く人は、二交替または三交替で勤務することになり、当然、夜勤もある。
会社勤めのように、日曜日や正月が休みというわけにもいかない。
とはいっても、替わりの日に、休みは保障されている。
適所型、派遣型および生活型では、一般的に夜勤はなく、昼間だけの勤務である。
ただし、ホームヘルプサービスでも、夜間や平日以外のサービスを提供するようになってきているので、入所型と同様の勤務体制が増えるのは間違いない。
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