社会福祉の推進方向
社会福祉改革が意図した方向を、介護に関連させて整理すると、大きく以下の五点に集約することができる。
これらを計画的に推進していくというのが今日の課題である。
国中心の企画から市町村中心の企画へ
中央集権型あるいは中央管理型のサービス実施体制は、地域の個別事情を反映しにくいし、状況に応じた迅速で柔軟な対応がしにくい。
そこで、サービスの実施責任を、住民に最も近い自治体である市町村に原則的に委譲した。
このような方向を、一般に分権化と呼んでいる。
たとえば、老人ホームを利用する場合、町村では、かつては都道府県の福祉事務所で手続きをしていたが、町村役場で行うこととなった。
ただし、市の場合、もともと市の福祉事務所が行っており、市については大きな変化はない。
施設福祉から地域福祉へ
できるだけ家族での介護を優先し、家族での介護ができなくなって初めて施設を利用するという従来の方式は、家族に過重な負担を強いるだけでなく、施設利用者への偏見、ひいては施設そのものへの偏見を生む。
これを解消するため、中間的サービスとして在宅福祉サービスを積極的に導入し、施設福祉とのバランスを考えながら推進していくというのが地域福祉である。
当面は、圧倒的に不足しているホームヘルパー、デイサービス、ショートステイのいわゆる在宅福祉三本柱の充実が課題である。
選別的福祉から選択的福祉へ
行政による措置中心のサービスは、結局はサービスを行う側の都合が優先しやすく、時には利用者の青苗が十分反映されないことになる。
このような体制を選別的福祉と一般に呼んでいるが、これを利用者が主体的に選んでいく方向へと転換しようというのが選択的福祉である。
これを実現するためには、サービスメニューの多様化という質的充実と、サービス量そのものの確保が必要となる。
そのため、公的サービス以外にも、企業によるサービス、住民参加型のサービスなどが積極的に開発されている。
また、選択を保障するために、情報提供、公的介護保険制度、インフォームドコンセントなどの方法も検討されている。
点的サービスから総合的サービスへ
サービス利用者のニーズは多様であり、かつ複数が同時的に存在している。
従来は、住民が一つ一つのサービスと個別に契約を結ぶというやり方が多かったが(点的サービス)、問題が重度化、複雑化するにつれ、ニーズの全体状況を考え、サービスを調整しつつ供給する必要が生じてきた。
総合的なサービス体制である。
これらを行う方法として開発されてきているのが、ケアマネージメントあるいはケースマネージメントである。
ケアマネージメントは、ニーズ充足効率を高めるだけでなく、利用者の主体性を発揮できる方法として、選択の時代にふさわしい援助方法と考えられている。
老人福祉から老人保健医療福祉へ
生活は、机の上では分解し、分析することができる。
ニーズも同様である。
しかしながら、実際の生活は分解することはできず、ニーズは個人の生活の中に不可分割的に表れる。
援助する側中心の発想では、サービス供給者別の縦割構造になりやすいが、利用者中心の発想では関連するサービスが一体となって、ニーズ全体に対応する必要がある。
これは、生活の側でサービスを統合するということであり、あるいは連携による援助を行うということである。
保健、医療、福祉が個別に対応していた時代はすでに過去のものとなりつつあり、行政機構も次第に、少なくともこれらを統合した部局へと再編成されつつある。
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