介護の仕事の原則
介護は、食事や排せつ、衣服の着替え、身だしなみ等、人間の基本的生活の一部に関わる援助である。
要介護者にとっては、介護されることで生活が成り立っており、これを抜きに自分自身の生活を考えることはできない。
介護は、きわめて日常的でかつ一日たりとも欠かすことのできない行為なのである。
このような、人間にとって不可欠な行為を委ねられた身内以外の第三者が、介護を職業とする人である。
介護を職業とする人は、その職場が、施設であれ、在宅であれ、このような介護の仕事の特徴を認識しておかなければならない。
ところで、介護の仕事に従事する人たちが、活動の際に気をつけるべき原則が多くある。
これについては、多くの識者が、さまざまな角度から指摘しており、数え上げたらきりがない。
ここでは、これを大きく五点に集約して、その要点を整理しておく。
援助関係は少なくとも対等
介護を受ける人は、一般に弱い立場にある。
介護を必要としなかった頃の自分と比較して、自信を喪失してしまったり、介護を受けることで自尊心を失いつつある人もいる。
介護を受けることは、多くの人にとって決して快いできごとではなく、少なくとも当初は苦痛であることの方が多い。
社会福祉などの仕事に従事していると、介護を受ける人のこのような立場を忘れて、つい指導的な援助になったり、一方的な援助になったりすることがある。
援助関係は決してこのような上下的な関係であってはならず、少なくとも対等の関係でなければならない。
介護を受ける人をひとりの人間として尊重する態度が援助者には求められる。
主役は本人自身である
人間は、その人の歩んできた人生によって、人生観や生活観が異なる。
介護を要する人といえども、このことは同様であり、一人ひとりが別々の人生を歩んでいるし、これから歩む道も異なるべきである。
すなわち、一人ひとりが、それぞれの人生の主役であることを念頭におかなければならない。
また、介護者が効率を求めるあまり、要介護者の自立を損なうような援助になることもよくある。
介護は、介護者のためにあるのではなく、本人の生活を成り立たせるために存在する。
介護計画は、それぞれの人生という履歴書にふさわしいものでなければならない。
介護者が介護しやすいような計画および実践ではなく、要介護者のその人らしさをかもしだすような工夫が必要である。
そのためには、本人および家族の声をよく聞き、共同しての介護計画づくりが進められなければならない。
生活全体への気配りを
要介護者は、心身の不自由ゆえに、自分自身の生活の全体像が見えにくくなっていることもあるし、
新たな要求を遠慮してしまったり、変化に対しておっくうになっていることもある。
その結果、生活がますます萎縮し、QOL(生活の質=生きている喜びや充実感がある状況)が低下することになる。
介護者は、直接的な介護場面での援助を行うのみならず、それを通じて要介護者の生き生きとした生活を作るのが目標であるという自覚が必要である。
そのためには、地域社会との関係を含む、本人の生活の全体への気配りが必要である。
援助は一人でしているのではない
施設での介護に従事するものは、職員集団が明確であり、チームによる援助、あるいは職員間の役割分担と連携という発想に立ちやすい。
かたや、在宅での個別援助の場合、時には自分だけが援助者であるという錯覚に陥ることがある。
介護者が担当する時間は、要介護者の生活のごく一部分であり、その他の場面では、他の人々が関わっていることは想像に難くない。
たとえば、保健医療関係の人との接点は当然考えられるし、デイサービスやショートステイなど複数のサービスを利用していることもよくある。
それぞれの援助者がお互いに情報を交換し合い、情報を共有することで、新たなニーズや解決方法の発見につながることもあるし、総合的な計画を立てることが可能となる。
信頼関係が大前提
介護関係は、人間対人間の関係であり、それは単に技術的な問題だけでなく、精神・心理的な関わりでもある。
要介護者との信頼関係が崩れると、全く同じ行為でも逆の効果となることさえある。
介護者は、単に技術的な向上だけでなく、信頼される人間としての魅力を作り出す努力が必要である。
その大前提は、秘密保持ということであるが、このような極めて当たり前の原則だけでなく、言葉遣い、立ち振る舞い、視線、服装、態度など、援助専門職としての基本的な事柄が求められる。
お気に入りのブックマーク・RSSに登録 »
関連記事
サイトマップカテゴリー:介護の仕事
トラックバック(0)
http://www.loan-me.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/2935
