介護の定義
家族が主として介護をしていた時代においては、介護の定義をする必要もなければ、その意味合いを明らかにする必要もなかった。
しかしながら、介護業務の職業化さらには専門職化が進むにつれ、その定義あるいは専門性の明確化が社会的に必要となってきた。
社会福祉関係の辞典に「介護」という言葉が登場し始めたのは、それほど古いことではない。
比較的最近発行されたもので、かつ入手が簡単ないくつかの辞事典で介護の定義をみると、次のようになっている。
「重度の心身障害者やねたきりの老人、病人など日常生活を営むうえで生ずる諸困難に対するサービスを介護・介助という。
社会福祉施設において寮母、介助員などが行うものと、在宅ケアと して家庭奉仕員など派遣事業が実施されている。」(本間真宏『現代社会福祉事典』全国社会福祉協議会、1988)。
「介助し、保護することをいう。介護は、成人の家庭人の誰もがその意志に基づいて行うことのできる活動であるが、職業として介護を行う集団もある。
福祉機関に働く寮母、介助員、ホームヘルパー、そして民間の家政婦等である。」(厚生省監修『老人保健福祉事典』中央法規出版、1992)。
「障害などにより日常生活を営むのに支障のある人に対して身辺の援助を行うことをいうが、看護、介助、お世話などと厳密には区別されることなく使われており、明確な定義はないといえる。」(神垣真澄『現代福祉学レキシコン』雄山閣出版、1993)。
「ひとりで動作できなかったり、日常生活に支障をきたしている人に提供するサービスで、具体 的には食事や排せつの世話、掃除、洗濯などからなる。
このサービスは、ホームヘルパーなどによって在宅のままで提供される場合と、寮母などが主体となって施設内で提供される場合がある。」(社会福祉実践理論学会編『社会福祉実践基本用語辞典』1993)。
また、直接介護を定義するものではないが、社会福祉士及び介護福祉士法においては、介護福祉士の業務として、
「専門的知識及び技術をもって、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき入浴、排せつ、食事その他の介護を行い、
並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うこと」
としている。
介護という行為は、有史以前より、人間が当たり前のように行ってきたものであり、名称独占でもなければ、ましてや業務独占でもない。
これらの専門的辞事典は、これが職業化されるあるいは専門性を社会的に認識させる段階での必要性から定義づけを試みているものである。
したがって、介護そのものを定義するというよりも、職業としての介護を明確に位置づけようとしている部分が多々見受けられる。
いずれにしても、現状では社会的に承認されるまでの共通した介護の定義はないといった方がよさそうである。
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