言語知識の障害
失語症
脳には言語中枢をはじめ、言葉の処理に重要な場所がいくつかあり、脳のあちこちに張り巡らされた神経のネットワークで言葉の理解や産生を行っています。
失語とは脳の病気でこのネットワークに障害が生じ、言葉をうまく理解できなくなったり、思い通りに話せなくなった状態です。
一般には言語知識の障害と位置づけられます。
障害される脳の場所によって現れる失語症状はさまざまで、「運動性失語」「感覚性失語」などのいくつかのタイプに分類されます。
どの患者さんでも「聞く」「話す」「読む」「書く」のすべての言葉の側面に多かれ少なかれ障害が生じ、言葉がなかなか思い浮かばない「喚語困難」や言葉を誤る「錨語」など、失語特有の症状が現れます。
錨語では、「保険証」を「ほたんとう」と言うように音の一部を誤ったり、「保険証」を「手帳」と言うなど言葉そのものを誤ったりします。
「運動性失語」の患者さんでは、発音が思い通りにいかなくなる「発語失行」という症状が起こるのが特徴的で、発音がぎこちなくなり、話すのにとても苦労します。
患者さんは自分の発音がうまくいかないことはわかっているのですが、なかなか直すことができません。
言葉の理解は比較的良いのですが、検査をするとやはり完全とはいえないことがわかります。読み書きにも不自由があり、とくに仮名文字が書きづらくなります。
「感覚性失語」の患者さんは一見すらすらと話せるのですが、錯語や喚語困難がはなはだしく肝心の言葉がなかなか出てこないので、
いろいろ話すわりには何を言いたいのか周りはよく理解できません。
言葉の理解も悪く、年を尋ねられたのに名前を答えてすましていたりします。
読み書きの障害も同時に起こります。
感覚性失語の患者さんの中で、理解は比較的良いのに、話す時や読む時に音の誤りが頻発し、復唱がとくにひどく苦手になるタイプがあります。
このようなタイプは「伝導失語」といわれます。
「伝導失語」とは対照的に、復唱だけがよくできる「超皮質性失語」と呼ばれるタイプもあります。
しかし、どの失語症型にもぴったりあてはまらない場合も少なくなく、症状は実にさまざまです。
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