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救急救命士の「特定行為」と将来性
より高い蘇生(救命)率を実現
国家資格を取得した救急救命士は、高度な救急救命処置(特定行為)によりCPA状態(心配停止状態)に陥った傷病者を救急現場から医療機関に搬送するまでの間、
医師の具体的な指示のもとに次の3つの処置ができます。
「半自動式除細動器による除細動」、
「乳酸加リンゲル液を使用した静脈確保をするための輸液」、
「食道閉鎖式エアウェイまたはラリンゲアルマスクを使用した気道確保」
がそれにあたります。
東京消防庁の場合は24時間体制で、特別区と多摩地区のそれぞれの災害救急情報センターに各1名ずつの救急隊指導医が常駐しており、
特定行為における具体的な指示を出しているんです。
例えば、「半自動式除細動器による除細動」は、CPA状態に陥った傷病者に対して、心電図上「心臓が不規則に痙攣している状態の波形」があり、
除細動器が「除細動の適用」と判断した場合に一定の手順に従って救急救命士が、電気ショックを与えて、心臓の疫攣状態を解消する方法です。
CPA状態(心配停止状態)に陥った傷病者1カ月の生存者の割合を、救急救命士が対応した場合と、一般の救急隊員が対応した場合とに分けて比較すると、
前者の方が約1.5倍その救命効果が向上しているという結果が出ています。
とはいえ、もっとも大切なのは、そばにいる人(バイスタンダー)の応急手当による早期対応です。
脳など重要な臓器に血流を施し、酸欠状態を解消しなければなりません。
それこそ1分1秒を争いますので、バイスタンダーに応急手当の方法を指導することも、救急救命士の大切な役割です。
高齢のCPA傷病者急増で救急救命士の活躍場面が増大
特定行為は現在、CPA状態に陥った傷病者のみが対象であり、出血性ショックや熱傷などの傷病者に対して有効な輸液を使用することはできません。
また、より気道確保の換気を良好にするための気管にチューブを挿入する気管内挿管や、心拍再開を施す昇圧剤の投与なども認められていないため、
今後、特定行為の処置範囲と処置対象者の拡大が必要だと思います。
より多くの傷病者の命を救うために、救急救命士が存在するわけですから、傷病者のために最大限の力を発揮して救急救命処置を行っていきたいというのが、救急救命士の共通の願いでしょう。
救急救命士は、まだ誕生して間もありません。
逆に言えば、よりよく変化を遂げていく可能性を持った資格であるともいえます。
今は、消防隊員や看護士などが取得するケースが多いようですが、
今後、こういった職業に就きたいと思っている人が、まずこの資格に挑戦して自分に自信をつけることもよいと思います。
高齢社会を背景に、CPA状態の傷病者に占める高齢者の割合が増加している状況から、救急救命士が活躍する場面が急増することは間違いありません。
カテゴリー:救急救命士
救急救命士
プレホスピタル・ケアの促進を目的に国家資格化
私たちが日常生活において、交通事故や心臓疾患の発作などにより、突然、生命の危機にさらされることは珍しくありません。
こうした突然の事態に備えて24時間体制で対応し、現場へと急行、救急処置を施した後、医療機関へひきわたす役割を担っているのが、消防機関等の救急隊員をはじめとする救急救命士です。
1991年4月、厚生省が新設した「救急救命士」は、救急車が現場から病院に到達するまでに救急救命処置を施すことができる、「プレホスピタル・ケア」の促進を目的とした国家資格です。
救急救命士が行える手当
通常の救急隊員が行える救急手当には大幅な制限が加えられているのに対して、救急救命士は、救急隊員には認められていない高度な救急救命処置が行える、救急救命の専門家として注目を集めています。
現在、救急車の出動は1日に平均すると約10,000件にものぼり、約55,000人の救急隊員と5,200台の救急車が日々出動しています。
およそ30年ほどの間に18倍にも増加していることになります。
多発する交通事故や、高齢社会を背景にした心疾患や心不全患者の増加する現状からすると、当然の数字かもしれません。
ところが、CPAOA(病院到着前心肺停止)と呼ばれるケースも多く、医療先進国・米国と比べ、心肺蘇生の成功率に若干の差があります。
これは、現場から医療機関に搬送するまでの間に、救急隊員が施す救命行為が限定されていることが理由として挙げられます。
こうした状況のなか「救急救命士法」が制定され、救命率向上のために現場あるいは、救急車内での救急救命処置を大幅に拡大・高度化させた救急救命士が登場したのです。
救急救命士は、「救急救命士法」により「厚生大臣の免許を得て、医師の指示のもとに救急救命処置を行う者」と定められ、制限は加えられているものの、救命に不可欠な高度医療処置が認められています。
救急自動車(救急車)など、厚生省令で定める場所での人工呼吸やマッサージなど、救急隊員であれば認められている救急処置に加え、精神科・小児科・産婦人科の各領域の処置のほか、
医師の具体的な指示のもとに、半自動式除細動器による除細動、
厚生大臣の指定する薬剤および器具を用いた静脈路確保のための輸液、
気道確保
の3つが「特定行為」として行えます。
したがって、心肺停止状態など危険な状態に陥った患者に対して、スピーディかつ適切な蘇生処置を行える、いわば救急救命のスペシャリストとして、その活躍は大きく期待されているわけです。
救急救命士の有資格者の職域は広がってきた
平成4年に第1回目の試験が実施されて以来、現在までにおよそ1万6千人の救急救命士が誕生しています。
その活躍現場は多岐にわたっていますが、今のところ、消防署の救急隊員として働くのが一般的です。
しかし、医療機関のコ・メディカルスタッフ(チーム医療スタッフ)の一員として救急医療に携わるケースもあります。
消防隊員のほか救急救命医療に密着した職種を目指す場合にも、救急救命士の資格を取得しておくと有利といえるでしょう。
最近では、看護士の受験が多いのも特徴です。
看護士養成課程において、救急に関するカリキュラムが少ないことに加え、1992年に改正された医療保険制度が影響していると思われます。
同制度に救急救命管理料が新設され、救急救命士に指示を下した医師の指示料と救急救命士が行った処置料を合わせて、保険で算定できることになりました。
したがって、救急救命士の資格を持った看護士などが現場に急行し処置を行えば、保険点数がつくため、病院経営者にとっても、救急救命士資格取得者に注目が集まることはいうまでもありません。
また、これまで各自治体の消防署が行っていた患者の搬送業務に民間企業の参入が認められ、
現場からの搬送はもちろん、病院間の移送、退院、通院時の搬送を担う傾向があり、今後、活躍の場はさらに広がるといえるでしょう。
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