視能訓練士に求められるもの
眼球の大きさは直径約24ミリ。
人間の身体全体からすればごく小さな器官だが、外界からの情報の8割は目を通して入ってくるわけだから、
視機能の重要性と、その機能検査や矯正・回復訓練に携わる視能訓練士の仕事の大切さが理解できると思う。
もともと治療法がないとされてきた弱視や斜視だが、
幼児期に発見されれば治療できることがわかってきたこと、そして幼児に対する視機能検査が仕事の中心だったことが、有資格者の9割が女性というこの職種の背景にはある。
国家資格取得には、看護師・保育士養成校出身者からのコースがあることも、それを裏付けている。
求人として女性が多いという傾向はいまも変わらない。
それは子どもたちに安心感をあたえる担当者のやさしさと明るさが不可欠とされている理由が多分にあるからだと思う。
子どもたちには、自分にとって外界がどのように見えているのか、あるいは見えていないのか、うまく言葉に表して相手に伝えることができない。
わずかなしぐさにも気を配って、どんなふうに感じているのか、わかってあげなくては障害の早期発見は困難である。
斜視の手術などを終えたあとの視能訓練には長い時間がかかり、家族の協力も欠かせない。
子どもたちが伝えたいと思っていることを代わりにお母さんに伝えたり、家族ぐるみで訓練の指導をしていくためにも、女性特有のやさしい心配りが求められているのかもしれない。
また、最近の傾向として、高齢社会を迎えて慢性疾患が増加傾向にあり、中高年になって視機能に異常をきたす人も増えてきている。
こうした患者に対しては、ケースワーカーなどほかのスタッフとも連携を取り合いながら、補助具を選定するなど社会復帰できるように努めなければならない。
年配者の落胆と焦りや戸惑いを理解して、訓練のために協力しあえる信頼関係を維持するには、たしかな専門知識に裏打ちされた謙虚さとともに、豊かな人間性が求められるだろう。
視機能の検査には、薬物を用いたり超音波を使った測定、電気的刺激に対する反応測定、生体写真撮影などさまざまな方法がある。
また、視器官と視神経で結ばれる中枢神経や脳を観察するために、MRIなど最新の画像診断装置も駆使することになる。
操作が簡単になったとはいえ、視能訓練士はこれらの装置の原理を理解して、眼科医が診断治療をするための基礎検査を行わなければならない。
そのうえで眼科医と相談しながら、視機能の回復訓練プログラムを作り、いろいろな光学機械を使って訓練を続けることになる。
新しい検査方法や新しい検査機器の登場にはつねに気を配り、自分の技術と知識を磨いておく努力を忘れないようにしたい。
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