視能訓練士の主な仕事
眼科検診や弱視などの訓練を行う
るみなさんが視能訓練士の姿を見ることができるのは、どんな場面だろうかと考えてみた。
視能訓練士はおもに眼科のある病院や、眼科専門の医院で働いているから、眼鏡やコンタクトレンズが必要になって眼科に行ったことのある人は、
視力検査をしてくれた白衣の女性(視能訓練士の約90%が女性だから)が視能訓練士の資格をもつ人だったかもしれない。
あるいは、眼科医院に行ったことのない人でも、毎年学校の新学期に行われる健康診断の視力検査は受けたことがあるだろう。
眼鏡やコンタクトレンズを外して片目ずつ、検眼表(「字づまり視力表」とも呼ばれる)を使って、5メートル離れたところから、大小の平仮名や一部が欠けた輪(「ランドルト環」と呼ばれる)の見え方によって視力を測定するものだ。
ちなみに、学校で行う視力検査は平成4年から「3・7・0方式」と呼ばれる3段階(黒板の文字を判読する場合の目安はこの3つで足りるとされた。
0.3は教室の最前列なら黒板の文字がなんとか読める限界、0.7は教室の後ろの列からでも黒板の文字は一応見える最低ライン、1.0なら健常視力)の簡単な検査に変わっている。
この視力検査を眼科の校医といっしょにしている人が視能訓練士の場合がある。
このように、学校や会社、地域の保健センターなどで一度に多くの人を集団で検査し、障害や病気を早期に発見するのが視能訓練士の仕事のひとつだ。
学校で実施する健康診断は視力検査が中心、会社が実施する職場検診は眼底検査が中心だ。
これらは、健康的な人を定期的に検査することで、異常のある人がいないかをふるいにかけるスクリーニングと呼ばれる方法。
この方法では、なんらかの異常があるようだが、本当に病気なのか、病気だとすればどんな病気なのかまでは詳しくはわからない。
だから、異常の疑いのある人はあらためて病院で検査と診察を受けて、病気なのか、どんな病気なのかを確定することになる。
眼科一般分野の視機能検査
病院や診療所で、医師が行う眼科検査の補助をするのが視能訓練士のもっとも大きな役割だ。
病院で行われる診断と治療を目的とした検査には、視力(屈折)、視野、色覚、光覚、眼圧、眼位、眼球運動などさまざまな種類がある。
ちょっとした眼の異常でも、もし糖尿病などの生活習慣病が原因で起こっている場合は、根っ子の病気(原疾患)の治療を並行して行わなければ症状はどんどん悪化し、ついには失明ということもある。
眼の異常を検査したのがきっかけで糖尿病などの重い原疾患が見つかった、というケースも少なくないのだ。
視能訓練士の資格ができる前の時代は、こうした医師の診療の補助は看護師や臨床検査技師にしか認められてしなかつたか、
1971年に「視能訓練士法」ができて、いわば「眼の看護師」である視能訓練士を養成する学校が増えてきたため、現在では、病院に勤める視能訓練士は全国に2200人あまりいる。
それでも、病院に勤める眼科の医師が全国に約5200人(開業医は別に約6000人)いるのに、視能訓練士はその半分以下だから、まだまだ不足しているといっていい。
斜視・弱視などの訓練・指導
視能訓練士の3つめの大きな役割は、斜視や弱視といった、眼の機能に障害のある人に、視機能回復のための矯正訓練や、そのために必要な検査を行うことだ。
とくに斜視や弱視は乳幼児から小学校低学年(7、8歳)までに治療すれば治る可能性があるので、眼科医師の指導の下で、訓練のためのプログラムを組んでいる。
中高年の視力低下者のリハビリ
最近では、糖尿病などの慢性疾患による眼の合併症(眼の奥で明暗や色を知覚する網膜の働きが悪くなり、ものが見づらくなったり失明したりする糖尿病網膜症など)、
高齢化ににともなう白内障(眼のレンズが白く濁りまぶしく感じたりかすんで見えたりする)、
緑内障(眼の中の液体の流れが悪くなり視神経を圧迫し視野に異常が起こる)、
黄斑変成(網膜の中心で視力にもっとも関係が深い黄斑と呼ばれる部分が加齢によって変質し、視力が急激に下がったり視野の中心が見えなくなったりする)、
眼精疲労(コンピュータ画面などを長時間見つめる仕事で強い疲労感・眼痛・頭痛・肩こりなどの症状が現れる)
などが原因で視力が低下した患者に、
視力の維持・回復訓練や病状の進行を抑えるための指導を行う機会が増えている。
これからの視能訓練士には、高齢化や生活習慣病の増加、そしてIT化にともなう眼の病気に苦しむ患者と二人三脚で歩みながら、生活の質を保つためのよき援助者としての役割がより求められるようになるだろう。
眼の病気で行う検査
・眼圧測定・緑内障の検査で、空気を眼球に噴きつけて測定する方法や、麻酔をかけて眼球を圧迫する方法がある。眼圧が正常な緑内障もあるので、眼底検査や視野検査も必要になる。
・眼底検査‥眼球に光をあてて、瞳孔から眼球の内部を観察し、視神経の異常の有無をチェックする。
・蛍光眼底検査‥腕の静脈に蛍光色素を注射し、眼底の血管が浮き上がるようにして網膜を調べる。黄斑変成に多く見られる新生血管のようすがよくわかる。
・視野検査‥各方向の光を見て、見えにくい部分がないかどうかをチェックする。
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