臨床工学技士
臨床工学技士の誕生
心筋梗塞や狭心症など、ひと昔前までは命が助からなかった重症患者の治療も、著しい医療の進歩により、現在では多くの患者の救命に大きな成果をあげています。
これらの医療の進歩にともない、高度化する医療技術を支えるかたちで、20数年前から、それぞれの診療科に所属した人工心肺技士や手術室技士、ICU(集中治療室)技士、高気圧治療技士、透析技士といわれる人たちが働くようになり、
それらの技士たちは年々増加してきました。
このような背景のなか、それまでの各診療科の技士たちをまとめるかたちで、1987年(昭和62年)臨床工学技士法が制定され、国家資格として臨床工学技士が誕生しました。
臨床工学技士の仕事 生命維持管理装置の操作および保守点検
臨床工学技士は、「臨床工学技士の名称を用いて、医師の指示のもとに、生命維持管理装置の操作および保守点検をおこなうことを業とする者」と定義され、
かかわる機器のほとんどが、生命維持管理装置と呼ばれています。
生命維持管理装置というのは、生命の営みに欠かすことのできない呼吸機能や循環機能、あるいは代謝機能を失った人たちへの代替装置や補助装置のことをいい、
人工呼吸器や人工心臓、人工心肺装置や人工透析装置などのことをさします。
とくに人工透析は、透析治療が健康保険の適用になったことで、多くの慢性腎不全患者が、生命維持のための透析治療を受けられるようになりました。
現在、臨床工学技士の6割以上が、この透析を主とする血液浄化業務に従事しています。
臨床工学技士は、コンピュータや電子機器を応用したME(医用工学)機器を操作する医療技術者として、さまざまな治療業務に多面的にかかわっています。
このほかに臨床工学技士は、
心不全患者への大動脈バルーンの操作の補助や保守・点検、高気圧治療に用いられる高圧タンクの操作、手術室で用いられる設備機器の点検などを行います。
このように患者の生命と直結しながらも、医工学をきわめたエキスパートである臨床工学技士の仕事は、医師からの信頼も厚く、あつかう医療技術も高度化しています。
臨床工学技士の需要と将来性 医療施設からの求人が多く、臨床工学技士の職場の選択肢は増えている
臨床工学技士という名称のとおり、臨床工学技士の資格は工学と医学の両方にまたがっていて、養成校のキュラムも工学と医学がほぼ半々となっています。
とはいえ、短期間に両方を修得するのはとても大変なことです。
全国の養成校をまとめる役割の「日本臨床工学技士教育施設協議会」では、高校からの進学の相談や、病院や企業からの求人についての問合せに応じています。
また、就職については透析を行っている医療施設からの求人が多く、生活習慣病である糖尿病性の腎不全患者など、透析を必要とする患者が増えていることから、現在のところ売り手市場となっています。
また、高齢社会を反映して、在宅で行われる透析など、臨床工学技士がかかわる職場は、今後も増えていくと思われます。
また、就職先はほとんどが医療施設ですが、一部企業からの求人もあり、臨床工学技士の仕事は、工学と医学の両分野を熟知していることから、
医療機器メーカーなどの企業へ就職した人たちは、企業と病院とを中継ぎする技術営業的な仕事に就くことが多いようです。
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