義肢装具士に求められるもの
義肢装具士は非常に古くからある職種である。
近年では、交通事故や労災事故、薬害、疾病などで、四肢(両手両足)を欠損したり機能を失った人たちが増えていることもあって、対象とする損傷はさまざまに増えている。
しかも、人間の体形は本来一人ひとり異なるうえ、四肢欠損の原因も多種多様となれば、個々の患者にもっともふさわしい義肢装具を開発、製作、選択し、調整しなければならない義肢装具士の仕事の幅広さと困難さは想像がつくのではないだろうか。
また、義肢装具の開発・製作は、その時代の科学技術水準に左右されるという側面もある。
人びとの生活が豊かになれば、その時代に即して患者が求めるQOL(生活の質)も高まってくるので、自然と求められる「性能」も高度になってくる。
義肢装具士を志す人たちに求められる適性・能力も、時代とともに変わりつつあると言えるのではないだろうか。
たとえば最近の義手は、切断部分の筋肉から動かそうとする意思(電気信号)を読み取り、内蔵したモーターを駆動することで、患者の思う動きをかなり再現できるようになっている。
また、歩く速度に応じて内蔵のマイクロコンピュータがひざ関節の曲がりぐあいを調節し、走ることもできる義足も開発されている。
このため、義肢装具士には機械工学だけでなく、電子工学や制御工学などマイクロエレクトロニクスについての広範な知識が要求されるようになってきている。
義肢装具を構成する素材としては、軽くて丈夫なことに加えて生体との適合性も大切な条件で、金属やプラスチック、シリコンなど素材工学の素養も必要になるのだ。
先端技術だけでなく、義肢装具(機械)と生身の人(生体)をつなぐインターフェースを作るために、手足を失った人の身体を採寸してソケットを成型するという伝統的な技術は職人ベースとして要求されろところが。
以上から、義肢装具士に求められる最大の要素は「技術的知識」と「器用さ」のように見えるが、
失われた身体機能を義肢によって回復することには、手足を失った人がより人間らしく生きる手助けをするという意義が多分に含まれていることを忘れてはならない。
社会復帰をめざす人と緊密に意思疎通を図りながら、義肢を最適な状態に調整しその願いを実現させるには、義肢を装着して生活する人の身になって作業する「思いやり」こそが求められると言えるだろう。
また、義肢装自重は医療職の位置づけではあるが、実際は、大半は民間の義肢装具製作会社に社員として所属しており、病院やリハビリセンターなどに出向いて作業をすることが多い。
最近では、精密な義肢装具は専門のパーツメーカーで製作され、義肢装具士は、それらを仕入れて適合作業を受け持つという分業も進んでいるようだが、
いずれにせよ、病院やリハビリセンターでは患者を中心とするリハビリテーションチームの一員であるものの常駐者ではない。
またいっぽうで外部メーカーとの緊密な連携が必要なわけだから、「上手にコミュニケーションできる能力」というのも求められるところだ。
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